あいちトリエンナーレ2016パートナーシップ事業「都市の木質化プロジェクト@長者町会場」

まちのいたるところに「トシモク」が出現!

あいちトリエンナーレ2016(8月11日~10月23日)の開催に合わせ、まちのパートナーシップ事業として「都市の木質化プロジェクト@長者町会場」を展開しています。様々なかたちのベンチや犬矢来、更には舟までもがまちに出現。その一部を紹介します!

 

 

 

休憩施設「水舟」

 

名古屋の夏は暑い!

長者町会場をめぐる来場者のための、足湯ならぬ足水を設置。今回のトリエンナーレのテーマに即し、「キャラヴァン(旅)」を想起させる舟を、伝統的技術を使って愛知県産のスギにより製作し、地区内のコンビニにご協力いただき、舟底に水を張り街角に設置しています。

 

舟縁に腰掛けて、水に足をつけて涼をとっていただける「水舟」が、来場者をおもてなしします。


インフォメーションセンター

 

長者町会場のインフォメーションセンター(堀田商事)も木質化でお化粧。角材が来場者を迎えるように林立する風景は印象的です。

 

インフォメーションセンターの奥には、会期を通じてアートや都市にまつわる様々な講座やゼミを行うルル学校が開校しており、いつも人がたまる居心地の良い交流空間になっています。


都市木ギャラリー

 

トリエンナーレに合わせ、若手アーティストの作品を展示するギャラリーを愛知県産のヒノキで作成し、ショーウィンドウ等に合計10基設置しています。

 

トリエンナーレのような大規模な会場でなく、ふとまちで目に付く小さなアート。木質化とアートの融合による取り組みです。


犬矢来のある駐車場

 

コインパーキングが多い錦二丁目では、アスファルトと車、コンクリートの壁に囲まれた無機質な空間が増えつつあります。今回のプロジェクトでは、コインパーキングと建物の敷地境界の小さなスペースに、20m以上にわたって木の犬矢来を設置。

 

自動車のための無機質な駐車場も、少し木材が入るだけで柔らかい風景に変化します。

まちの風景をいかに有機的にしていくか、トシモクの重要な挑戦の1つです。

ベンチ!ベンチ!ベンチ!

 

今回のプロジェクトでは、街角で自由に座れるベンチを様々なかたちで設置しています。

建物と歩道の間の小さな空間を活用した長さ20m以上の「長いベンチ」を2基、広い歩道の一部を活用する「公共空間ベンチ」を10基、コンパクトな「おもてなしベンチ」を5基設置し、来場者だけでなく地域で暮らし、働く方が居心地良く過ごせる場所の提供をしています。

 

特に長いベンチは、地域に関わる様々な人(総勢20名以上)が施工に参加し製作したものです。

まちの公共空間に「手」を使って参加できるのは、都市の木質化ならでは!

 

 

この試みは公共空間の多くを占める道路をどのように豊かにしていくか、今後の公共空間利用を考える上での実験の1つです。ランチしている人を見た!とか、涼んで話している人が多いね、とか嬉しい使われ方を見たり聞いたり。設置期間を通じて利用のされ方や利用者の意見なども少しずつ収集し、これからの公共空間デザインに活かしていきたいと考えています。

トリエンナーレ後のトシモクは?

 

2016年10月23日にあいちトリエンナーレ2016が盛況のうちに閉会しました。トリエンナーレ否わせて展開したトシモクは、閉会後も地域に引き続き残るものもあれば、県内の違う場所で新たに活躍するものもあります。トリエンナーレ後のトシモクを少しご紹介します。

 

公共空間ベンチの多くは長者町内に残り、引き続き地域の憩いの空間として活躍する予定です。トリエンナーレ閉会後は、地域による自主的な管理に移るため、まちづくり協議会のプロジェクトメンバーが中心となって2週間に1回の点検と、必要な補修を行っています。

 

その他のトシモクについては、愛知県内のその他の公共施設や公共空間で活躍することになりました。トリエンナーレで沢山の来場者の涼をとった「水舟」は、11月20日に熱田区にある白鳥公園に移管され、進水式がとり行われました。これからは本来の役割である舟として、水の上で活躍します。機会があれば、白鳥公園にも足をお運びください。

公共空間ベンチの補修作業

白鳥公園での進水式の様子(11/20)


 

 

この事業は、愛知県(農林水産部農林基盤局林務課)、錦二丁目まちづくり協議会「都市の木質化プロジェクト」、名古屋大学「都市の木質化プロジェクト」が協働して実施しているものです。